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wutan:今からはじめる「プログラミング教育」

֛今からはじめるプログラミング教育

新学習指導要領で始まる、「プログラミング教育」。 でも、何を教えればいいのか、どう指導すればいいのか、 プログラミング教育でどんな力を育めばいいのかと、困っている先生も多いようです。 そこで今回は、長年プログラミング教育を実践してきた 筑波大学附属小学校の鷲見辰美先生に、 プログラミング教育への取り組み方を教えていただきました。

私がプログラミング教育を始めた理由

ーーー鷲見先生はプログラミング教育が注目を集めるずっと前からプログラミング教育に取り組んでいますが、なぜ始めたのですか?
鷲見:今の社会に、プログラミングは必要不可欠です。テレビや自動車など身の回りのさまざまなモノの中でプログラムが働いています。プログラミングが私たちの社会を支えているのに、それを子どもが知らなくてよいのだろうか?と危惧したのが、プログラミング教育を始めたきっかけでした。文部科学省が今年3月に発表した『※小学校プログラミング教育の手引(第一版)』(以下、手引)にも、身近な生活でコンピュータが活用されていることに気付けるように、と書かれています。
そして実際にプログラミング教育を始めてみたところ、「これはいい! いろいろな力が育みやすくなる!」と実感しました。

ーーー例えばどんな力ですか?
鷲見:まず「表現力」です。今までは「紙」が子どもたちの主な表現手段でした。しかし紙だけでは、表現に限界があります。例えばアニメーションのような〝動き〞のある表現はできません。
でもプログラミングを使えば、紙では不可能な〝動き〞のある表現ができます。今までにはなかった表現手段を手に入れたことで、子どもたちは今まで以上に創意工夫するようになり、表現力がメキメキと上がっていったのです。

ーーー新学習指導要領が重視する「思考力・判断力・表現力」の、「表現力」の育成につながるのですね。
鷲見:同時に「思考力」も育まれます。プログラミング教育を行っていると、「論理的思考力」が少しずつですが確実に育つんですよ。

「論理的思考力」とはなにか?

ーーー新学習指導要領にも、プログラミングを通じて「論理的思考力」を身に付けるようにと書かれていますが、この「論理的思考力」とは、どのような思考力なのですか?
鷲見:「論理的思考力」が何かを知るには、「論理的でない思考」とは何かを考えれば、わかりやすいでしょう。
例えばあなたが「正三角形を描くプログラム」を作ろうとしたとします。プログラムを組むのは初めてでよくわからないので、友だちが作ったプログラムを丸写ししました。このとき、「論理的思考」をしていますか?

ーーーいえ、何も考えていないですね。ただ真似しているだけです。
鷲見:そうですね。ところが丸写ししたプログラムがうまく動かず、正三角形を描きたいのに、直線しか描けません。困ったあなたは、当てずっぽうでプログラムの中の数値を変えてみたり、新たな命令文を追加したり、いろいろ直してみた結果、なんとか正三角形を描けるようになりました。これは「論理的思考」ですか?

ーーーさっきよりは思考していますが、当てずっぽうで適当にやっていますから、「論理的思考」とは言えませんね
鷲見:そうですね。これは「論理的思考」というより、「感覚的思考」です。「理由はよくわからないけど、多分ここを直せばうまくいくんじゃないかな」と、感覚的に〝勘〞を働かせている状態です。でもこの「感覚的思考」の中に、「論理的思考」が芽生え始めているんです。最初はただの当てずっぽうでも、それでうまくいけば、「理由はわからないけど、ここを直せばよさそう」と
体験的に学びますよね。そして次にプログラミングをするときには、「前回ここを直せばうまく動いたから、今回もこうしてみよう」と、経験に基づいた思考になってきます。なぜここを直せばうまくいくのか、理由も考え始めます。

ーーー確かに! 少し論理的になってきました。
鷲見:では、だいぶプログラミングに慣れてきたあなたは、「正三角形を描くプログラム」を手直しして、「正方形を描くプログラム」を作ることになりました。正三角形と正方形の違いを念頭に、「辺の数が3本から4本へ、角の角度が度から度になるから、プログラムの数値も変えよう」と筋道を立てて考え、修正し、うまくいきました。

これはもう「論理的思考」でしょう!
鷲見:そうです。「論理的思考」とは、「こうしたい」という意図や課題があって、それを実現するために〝勘〞ではなく理屈で、順序立てて考えることです。
しかし、いきなり「論理的思考」ができるようにはなりません。最初は何も考えていない状態からスタートしますが、体験を繰り返し知識を習得していくことで、「多分こうかな?」と
〝勘〞を働かせる「感覚的思考」になっていき、さらに体験と知識を蓄積していくと、「感覚的思考」が「論理的思考」へと育っていきます。

どんな授業を行えばいい?

一度や二度の授業をしただけでは、「論理的思考力」は身に付きません。「論理的思考力」に限らず、「思考力・判断力・表現力」は、一朝一夕で身に付くものではないのです。だから私は、プログラミング教育を1年生から始めて、6年間かけて「思考力・判断力・表現力」を育てようとしています。プログラミング教育では、6年間を通じてどんな授業を行い、どんな力を育んでいくかという長期計画、いわゆる度が度から度になるから、プログラムの数カリキュラム・マネジメントが絶対に必要です。

ーーーでは、どの学年で、どんな授業を行えばいいのでしょうか?
鷲見:低学年は、目に見える〝モノを動かす〞プログラミングがおすすめです。例えば生活科では、動物ロボットを動かすプログラミング(※実践1)をしたり、国語科では自分で作ったお話をプログラムでアニメーションにする授業も行いました。
まだ抽象的な理解が苦手なので、自分のプログラムで〝モノが動く〞という視覚的な手応えがあった方が、プログラムとはどんなものか理解しやすく、楽しさも実感しやすくなります。そして「プログラミングってこんなことができるんだ!」とわかると、子どもはどんどん創意工夫し始めます。モルモット・ロボットを作った授業でも、とても個性的なロボットを作り上げました。ある子どもは、「モルモットはエサを食べるときにキューと鳴くのがかわいい」と考え、自分で鳴き声を録音し、エサを見つけると鳴くロボットを作りました。
低学年では、目に見えるモノを動かすプログラミングを通じて、どんなことができるのかを知り、楽しみながら「思考力・判断力・表現力」を少しずつ育み、中・高学年につながる土台を築いていくといいでしょう。

ーーー中学年はどうですか?
鷲見:さまざまな「センサー」を制御するプログラミングがおすすめです。温度センサー、人感センサー、振動センサー、光センサーなど、多様なセンサーを制御できるプログラミング教材が、今人気です。

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